カゴの鳥
あれから僕たちは宿へ戻った。


部屋割りは僕と伊織、神代先輩と志水でひと部屋ずつとった。


「あぁあ~、今回合同だからいつもより楽出来ると思ったのに」


「不謹慎だよ……伊織」


「だってさぁ~、最近厄介な任務ばかりだったでしょ」


先輩の言うとおり僕たちは結構難しいランクの任務を頻繁に受けていた。


「逆に言えばまたそういうのがまわってきたってことだよね」


「はぁー、利都ちゃんは冷静だなぁ」


最近気づいたのだが先輩は任務の時と他ではギャップが激しい。


任務の時はすごくしっかりしていてたよりがいもあってカッコイイ。


それ以外は世話好きなお兄さんって感じだ。


でも、僕はそれに大いにお世話になっている。


僕がじーっと先輩を見ていることに気づき、「なに~?」と聞かれた。


その言葉で利都は伊織を見ていたことに気づき、それを誤魔化すように慌てて言った。


「荷物の整理も終わったし、神代先輩たちとそろそろ作戦たてたほうがいいんじゃないかと思って……」


「たしかにそうだな、じゃあ晩飯ついでに話し合うか」


時間的にもちょうどよかったので、僕は頷いた。




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