カゴの鳥
僕が悩んでいると声をかけられた。


「利都ちゃん決まった?」


「まだです」


僕はそう伊織先輩にこたえた。


「伊織はもう決まった?」


「うん、決まったよ。もしかして利都ちゃんまた量のこと気にしてる?」


伊織先輩にはやっぱり見抜かれていたようだ。


僕は前よりは食べるようになったのだが、それでも少ないらしい。


「食べられない分は食べてあげるから好きなの選びな」


いつもこうして僕に気をつかってくれる。


やだな……


これになれてしまったら、僕は……


本当に…最近こんなことばっかり考えてるな…僕……


気持ちを振り払うかのように頭を振った。


「僕は焼き魚定食にします」


伊織先輩に勘づかれ無いように少し元気に言った。


そうすると伊織先輩はすぐに従業員の人を呼んで注文した。


そこで僕はようやく二つの視線に気がついた。


いつの間にか志水と神代先輩は話を止めて此方を見ていた。


「相変わらず少食だね」


志水にとってはいつものことなので、いつもの感想だ。


驚いているのは神代先輩のほうだ。


「……本当に伊織はいつから世話好きになったのでしょう…」




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