大好き、ばいばい【実話】
一目ぼれ
蝉の声が辺りをにぎやかにさせるこの季節、夏。
私は初めて恋をした---。
汗でまとわりつく真っ白なシャツに、
水色のスカート。
中学生である私は制服を生温かい風になびかせながらバスが来るのを待っていた。
照りつける太陽に手をかざし、できるだけ日焼けを避ける。
シュー
と、バスのエンジンの音が聞こえ、
急いで定期を鞄から取り出し運転手に見せて吊革につかまる。
バスの中は涼しくて
空っぽだった。
でもその中で一人だけ---
一番後ろの席に座っている人物がいた。
外を眺めながら頬杖をついている。
さらさらの黒髪に
大きな黒い瞳
通った鼻筋
真っ白い肌
うっすらとピンク色の唇
白馬の王子様を連想させるその姿は
何故か私の胸を温かくした。