どりーむわーるど。
『臨時ニュースをお伝えします。
只今入った情報によりますと、東京羽田発宮崎行き●○便の飛行機が消息不明となった模様です。
今朝9時発のー…』
鼓動が急に速くなる。
「みんなが乗る飛行機…、多分違うはず。
確か、昼の便に乗るって言ってたよね?!」
昨日の夜、母からそう電話があった。
だから夕食作っておいてって言っていた。
大丈夫ー…。
でも、何かが心にのしかかる。
鼓動が速くなる。
♪〜
家の電話が亜莉子(アリス)の思考を遮った。
「はい、もしもし…」
「「もしもしっ!亜莉子ちゃん?!ニュース見てるッッ!?」」
「えっ?あ、はい…?」
電話の相手は、東京の叔母だった。
何か様子がおかしい。
何だろう、この異様な胸騒ぎは…。
一瞬嫌な想像が思考をすりぬける。
まさか。
「「亜莉子ちゃん、落ち着いて聞いてね。」」
まさか。
その時、テレビの中で動揺の声があがった。
『…臨時ニュースです。先程お伝えしました、●○便の飛行機が△県の山中で発見されました。
機体はばらばらで炎上しており、消防が鎮火を−…っ!』
ニュースキャスターの瞳に動揺の色が走る。
「「亜莉子ちゃんが心配だから早めに帰るって言って−」」
まさか。
『鎮火が終了し、すでに救急隊員が中に入って捜索している模様です。』
「「皆がー…」」
嫌だ、聞きたくない。
『△県警察本部によりますと、今の所159名の乗客のうち、生存者は1人も見つかっていないと−…』
「「…。」」
「…。」
電話の向こうの声が止んだ。
叔母も同じニュースを見ているのだろう。