キラめく堕天使
じゃあ、オレとして生きることは、生まれ変わっても出来ないってことか。

オレは、手術台の上で苦悶の表情を浮べている自分を見た。

苦しんでいる姿も、なんだか別の意味で気の毒だ。

よくも十数年、あんな体で生きてこられたと我ながら感心する。

ずっと、ずっと、嫌だった。

愛着、なんてない。

恵まれていないこの見た目のせいで、今まで、どれだけ辛い目に合ってきたか。

あの体に戻るなんて、考えるのも嫌だ。

「オレ、もういい。かな」

無意識に、本音を呟いてしまった。

と、

「きゃーっ、本当!!?」

ルナがオレの両腕を掴んで飛び跳ねた。

「じゃあ、話が早いわ。あなた、その魂、悪魔に売る気はない?」

「って、魂しかないのに、その魂を売れって?」

「うん」

「オレ、何にも無くなるんですけど」

「だって、もういいんでしょ?」

「そうだけど……」

「待って、説明不足だわ。

魂と引き換えに何かをもらえることになってるから、何かをお願いして。

それから、魂を譲り渡すのよ。

あれ?そういえばあたし、売られた魂がどうなるのかまでは知らないんだった」

ルナは考えるとき、人差し指を唇に当てるのがクセらしい。

そのクセを無意識に発動させながら、無責任に答えてくれる。



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