キラめく堕天使
ルナはオレの傍に来て顔を覗き込むと、オレの心を読んだかのように、

「じゃ、商談成立」

言って、トンとオレの背中を押した。

オレの霊体の体はその力に簡単に押されて動き出し、寝ているフィックスにぶつかった。
 

うわっ。
 

思って目を閉じた。
 
その瞬間まで、今まで意識が希薄だったことに気付かなかった。
 
突然、意識がはっきりと目覚め、目を開けた。
 
それでも、体を起こしてみると、さっきまでほどではないが、やっぱり、多少体が軽い気がした。

「どう?」

その声につられてそっちを見ると、ルナがいた。

「どうって?」

「その体」

オレは、自分の手を見た。

すらりとした、長い指が手のひらから伸びている。

短く、太く、不恰好だったオレの手じゃなくなっていた。

  
 
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