キラめく堕天使

と、壁にくもの巣状の亀裂が走った。

隙間から光が漏れる。

直視できない光から目をそらす。

バラバラと足元に何かが落ちてきた。

崩れた、壁だ。
 
それは、床に触れると、飲み込まれるように消えてゆく。

そして、オレの目の前には大きな青い穴があった。

穴は、向こう側に続く、広大な、真っ青の景色に繋がっていた。

「何だ?これは」

「魔界への入り口を作ったの」

ルナは呟くように言った。
 
さっきまでのテンションと違う。

気になって振り返ると、ルナは笑顔だった。

気のせいか?

オレは穴の向こうを見た。

真っ青に見えた景色は、よく見ると、遠くに見える水平な線を境に微かに色を変えていた。

上は空。

下は、海。か?

全く波のない、静かな海。

「ついてきて」

言うと、ルナは、海に一歩踏み出した。

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