キラめく堕天使
ルナは白い羽根で覆われたブーツを履いていて、そのかかとが海の表面に触れると、カツンと鳴った。
そこにあるのは海水、じゃないらしい。
ルナは青の上に立つと、振り返って手招きをした。
足を踏み出してみる。
素足が、青に触れて、冷たい感触に触れた。
体を、そちら側に乗り出す。
頭痛が一気に消えた。
魔界に入れば、この体は、楽になるらしい。
両足を下ろして下を見た。
踏みしめているそこは、ガラスのようだった。
けれど、よく見ると、そのガラスを隔てた奥に青く澄んだ水をたたえている。
氷の中に閉ざされた、海のようだ。
ただ、足の触れているガラスのようなものは、氷ほど、冷たくない。
「ここは監獄でもあるの。よく見て」
ルナは軽やかに走って行った。
足元を見ながら走って、立ち止まる。
振り返って、足元を指差す。
オレはそこまで歩いて行って奥を覗き込んだ。
青い色がそこだけ濃い。
オレは悲鳴をあげそうになった。
誰かがそこに沈んでいる。
オレが今体をかりている生き物より更に数段キレイな姿。
もう、美しいとしか言いようのないカタマリ。
それ、が、足の下にある。