キラめく堕天使
「人間の魂を1つ持ってきたら、彼を解放してくれるって。

そう言われたんだ。

ここに彼を閉じ込めたヤツの使いに。

だから人間を一人そそのかして、魂をもらう契約をしようとしたんだ。

そしたら見つかっちゃって。

あたしは即刻人間界へ堕とされた。

そうでなくても天界の禁を犯してたから。

もう、情状酌量の余地なしってことで」

明るく、軽く、ルナは言う。

いいのか、そんなんで。

と思ってしまう。

でも、天使なのだ。
 
こういう風にしか、嘆けないのかもしれない。

「…堕ちたところにあなたがいて。

あれ?あなたなんて名前?」

「オレ?オレは」

 ?

記憶が、ない。

というか、あまりにも希薄だ。

まるで何年も前に物語で読んだ人物のプロフィールのように、記憶のどこかに置き忘れている感じ。

「あ、ダメなんだった。

待って。言わないで」

 ルナは慌てて言った。

「あなたの名前はあなたの魂をフィックスの身体にとどめておくために必要な呪縛なんだ。

もし、あなたがそれを口にしてしまったら、たちまちあなたは元の身体に戻ってしまう」

それは嫌だ。
 
オレは即決で思った。

あんな生きにくい身体に戻りたくない。



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