キラめく堕天使
「大丈夫。

思い出せないから。

でも何でなんだろう。

オレの意識の方がこの体の主の意識に食われてるのかな」

「そんなことは、ないと思うよ。

記憶がないのは、あなたがそれを持っていることを拒んだから。

自分のこと嫌いだった?」

オレは大きく頷いた。

「大嫌いだった」

そう言うだけでも嫌悪感を感じた。

そして、ふっと思った。

「そういえば、この下の彼を助けるためには、人間の魂を一つ、手に入れればよかったんじゃないの?

何でオレの魂を持っていかなかったの?」

ルナは細く白い指先で、自分の唇に触れた。

爪のある指先が、血の色を写して綺麗なピンクに染まっている。

「もしかして、思いつかなかっただけ、とか?」

ルナは首を横に振った。

「そうじゃない。
すぐに思いついた。

だけど、魂譲渡の契約を結ぶためには、相手の願いを一つ叶えなければいけないんだ。

あなたは、綺麗な身体に生まれ変わることを望んだから」


< 24 / 212 >

この作品をシェア

pagetop