キラめく堕天使

「じゃ、このフィックスの命が尽きれば、オレの魂も抜け出て、やっと魂は君のものになるの?」

「そう。そしてめでたく、ジュランは開放される」

ルナは言って、自分の超ミニスカートとブーツの間の素足に指を這わせた。

ゆっくりと指先をブーツに近づける。

と、ふくらはぎの内側から、何かを抜き取った。

さやに納まった、短剣、だった。

ルナは、唇に笑いを浮べたまま、それをゆっくりとオレの目の前で引き抜いた。

ギラギラした銀の光がこぼれ出る。

先まで綺麗に研ぎ澄まされた、切れ味の良さそうな刃がスラリと姿を現わせる。

もしかして、手っ取り早く、オレを殺す、とか。

なんだ、もう終わりなのか。

まだ、綺麗な体に入っている自覚さえ味わってないのに。

オレは、唇を歪めて笑った。

多分苦渋の笑みを浮べているだろう。

それでも、今のオレなら、似合うんだろうな。

逃げる?

けれど、動けなかった。

鈴菜ちゃんにそっくりな可愛い天使。

彼女に殺されるのなら、それでも構わないかも。

頭のどこかでそう思っていた。

ルナの可愛い唇が、動く。

「これ、あげる。あなたの護身用」

短剣は、さやにおさめられて、オレの手に渡された。

え…と。
 
ずっしりと重い、な。

「護身用…ってことは、オレはこれから危険な目に合うってこと?」


< 25 / 212 >

この作品をシェア

pagetop