キラめく堕天使
えっ?
気のせいではなかった、次の瞬間には、ルナはその景色の中から消えた。
「ルナ!!」
オレは取り残されてしまった。
『ジュランを助けて』
そう言われたけれど、どうしていいかわからなかった。
ルナがあけた壁の穴が、ぽっかりとそこに口を開けたままある。
オレの足は自然に壁の穴から見える、自分の部屋へ向いた。
とにかく、落ち着くところでじっくりと考えてみたかった。
なのに、オレが部屋に戻ると、壁はぼこぼことうごめきだした。
穴を埋めようともがいているようだ。
「ちょっと待ってくれ!」
とっさに叫んだのに、それはおさまらず、壁は穴を完全に塞いでしまった。
ここでゆっくり考えた後で、魔界を散策しようと思っていたのに。
その入り口が閉ざされてしまった。
どうしよう。
頭を殴られたような、痛みがした。
この体で、人間界に留まるのは無理があるんだった。
それを思い出さされる。
断続的に襲ってくる、激痛にイライラする。
短剣をベッドの上に放り出した。
けれど、自分じゃなくなった今、元の自分の部屋にいることも出来ないのだ。
階下の様子を伺いながら、階段を下りた。
父はまだ、会社だろう。
それに、母もいなかった。