キラめく堕天使
そこだけ水圧を感じない。

思っていると、体全部が水から抜けた。
 
水の層の下に空気の層があって、どうもオレはその空間に落ちるらしい。

体を地面に叩きつけられた。

青く深く澄んだ水を、倒れたまま、見上げた。

水の下に、落ちた。

自分の上に水がある。

変な感じだ。

そういえば体が、濡れてない。

上にあるのは水じゃないのか?

それとも、この体の主に何か特別な能力があって、そのせいで濡れないのか。

オレはゆっくりと起き上がった。

手には短剣をちゃんと掴んでいた。

どこかに短剣をおさめたかったが、自分の服を着せられているらしいこの体のどこにも、そんな場所はなかった。

諦めて、回りをみた。

自分が、何か高いものの上にいるのがわかった。

下を覗くと、通路があった。

その通路目掛けて飛び降りる。

体が軽い。

ほっそりとした体になったせいだ。

足を深く曲げて着地した。

しゃらしゃら。

どこからだろう、音がする。

通路はすぐに他の道と水平に交差していて、音は、そのどちらからか、近づいてくる。

オレは身を隠そうとして、周りを見た。

自分が乗っかっていたところは、鉄格子がはまっている部屋だった。

監獄か?



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