キラめく堕天使
オレが魂を売った相手は天使だったけど。
 
老婆が行き過ぎると、オレはベットから飛び降りた。
 
それから、扉を足がかりにして牢屋の上に這い上がると、下を行く、老婆の後をつけた。
 
老婆はゆっくりと動く。
 
天井を覆う水溜りが青白い光を漏らしているので、老婆の姿はよく見えた。

と、老婆は、立ち止まった。

「ルナもうでてよいぞ。おぬしはもう立派な悪魔じゃて」

ルナがいるのか。

立派な悪魔って、どういうことだ?

鍵が開けられる音がした。
 
薄気味悪い笑い声を残して、老婆は歩いて行ってしまう。

その姿が見えなくなるのを待つと、オレは通路に下りた。
 
老婆が鍵を開けていた牢屋の目の前だ。

奥を覗くと、ルナが上半身が裸の姿で横たわっていた。

「ルナ?」

声をかけると、ルナは顔を上げた。
 
笑っている。
 
けれど、何かがおかしかった。
 
笑いが歪んでいるから?

それだけじゃない。
 
オレはルナに近づいた。

「来ないで」


 
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