キラめく堕天使

 血を大量に失ってしまったからだろうか。

 天使、いや、元天使でも、血を大量に失うと致命的なんだろうか。

 思いながら、ルナを見た。

「あたしは一旦天界へ連れ去られて、

それから翼をむしられて、またここへ落とされたの。

でもそのとき、ジュランの姿が見えなかった」

 そうなんだ。ジュランはあの場所にいなかった。

「ジュランを探して。きっと、ここのどこかにいるハズ」

 オレは、ルナを抱き上げて、固いベッドの上に背中を横にして寝かせた。

「分かったよ。君は待ってて」

 オレは、行く当てもなく、そこにルナを残して、通路を歩き出した。

 さっきの老婆が消えたらしい方向へ曲がってみる。

 けれど、後は延々、方向感覚がおかしくなりそうなほど、同じ景色が延々と続いているだけ。

 どこを曲がってみても、一面を鉄格子に覆われ、狭く区切られた牢屋ばかりだ。


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