キラめく堕天使

 中には誰もおらず、不気味に静まり返っている。

その光景を、青く淡い光が照らし出しているのだ。

 冷たい、無機質の監獄でしかないのに、その光のせいで、見るものが幻想的に浮かび上がっている。

 そのギャップが、また、ここの雰囲気を静かな怖さへ導いている。

 しゃらり。
 
またあの音が聞こえてきた。
 
突き当たりの通路に布の老婆の姿が横切り、ゆっくりと音は離れていった。
 
身を隠す暇がなかったけれど、助かった。

 見つからなかった。
 
見つかるとどうなるのだろう。

 きっとあの布の老婆は牢獄の門番なのだ。
 
不法?進入しているオレを見逃すハズがない。

 オレは老婆から離れた方角へ歩いた。
 
すると、どこからか、女の子のものらしい、声が聞こえてきた。
 
きゃーきゃーと騒いでいるようだ。
 
何だろう。
 
思って、そっちへ行ってみた。
 
オレンジ色の明りが見えて、その姿が見えた。

 通路は広くなって行き止まっていた。

その手前に髪の長い女の子が、地面から突き出ている岩を椅子代わりにして座っている。


< 37 / 212 >

この作品をシェア

pagetop