キラめく堕天使
物凄い声が耳元でして、オレの耳は一瞬機能不能に陥った。
叫んだのはルナだ。
オレはルナを振り返って、目が、ルナの見ている方を追った。
後ろ側にあった牢屋。
その椅子に、誰かが座っていた。
「ジュラン!!」
ルナはオレの手を振り切って、鉄格子にしがみついた。
ジュラン?
オレはルナを避けて、中を覗き込んだ。
確かに誰かいる。
中央の椅子に座って、うなだれている。
オレは老婆の落とした鍵束を持ってこなかったことを悔いた。
けれど、ルナが飛びついて引きあけると、それは簡単に開いた。
鍵はかかってなかったのだ。
どうして?
その答えはすぐに分かった。
椅子に座っているジュランは、椅子から生えている、
岩で出来た細いいばらの茎のようなものにぐるぐると体を巻かれていた。
着るものを奪われ、素肌になっている体を、いばらは幾十にも取り巻いて、
その体を椅子に縛り付けている。
腕は力なく、左右の手すりに置かれ、その腕をも、いばらが取り巻いていた。
「ジュラン!ジュラン!」