キラめく堕天使

 けれど、ルナの顔は少しも泣き乱れてはいなかった。

「何か思いついたのか?」

その潤んだ目でオレを見上げた。

「うん。石を取り返せば、何とかなると思う」

「石?」

「そう、ルビーで出来たピアス。初めてジュランを見たとき、していたでしょう?」

 ああ。石って、宝石のことなのか。

そういえばそうだった。
 
あんまり似合っていたので、覚えている。
 
って、ちょっと待て。
 
それ、どこかで見なかったか?

「どうしたの?急に固まっちゃって」

 オレは、記憶の中を探ってみた。
 
どこで見たんだろう。
 
そんなに前のことじゃない。

この牢獄に落ちてきて、それからだ。
 
ここであったモノといえば、布の老婆と、それと、それと

「あ」

 オレは叫んだ。

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