キラめく堕天使

 見ると、ねずみらしき長い尻尾がかろうじて見えた。

行ってしまった方を目で追うと、ねずみは音もなく膨れ上がって、人間の大きさになると、布の老婆に化けた。
 
うわ。

 オレは急いでそこを後にした。
 
しかし、老婆はここの門番なんじゃないだろうか。
 
このままではルナが、ジュランのところにいるのが見つかってしまう。
 
急がなければ。
 
オレは記憶を呼び覚ましながら、格子状に入り組んでいる道を辿っていった。
 
と、声が聞こえた気がした。

女の人の、弾けるような笑い声。
 
オレは、ハッとして、そっちへ急いだ。
 
角を曲がると、さっき見た、金髪の堕天使がいた。立ち上がって、

フラフラする怪しい足元で、彷徨うように歩き回っている。

「ちょっと」

 声をかけると、金髪は振り返った。

「何」

 なんて呼んだらいいんだろう。
 
オレは瞬間考えてしまった。

「あの、堕天使さん」



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