キラめく堕天使

「そうよ。ここに堕ちる羽目になった原因の悪魔が、何とエレナのことを迎えに来たの。

天使を誘惑して天界から堕とさせておきながら、

堕ちてしまった天使には目もくれない、あの悪魔がよ。

すごいことだと思わない?」

 喜んでいるのか?

でも、浮かれているようで、二人の堕天使は苦しげに見える。

もしかして、嫉妬に苦しんでるとか。

 天使だったから、そんな感情は持ったことがなかったのかもしれない。
 
それなのに、突然、容赦のない、どす黒い感情に、蝕まれてしまったのだ。

免疫のない、感覚。内側にも外側にも棘を向けたいばらに、心を痛めつけられていく苦しみ。

オレは一杯味わったから、わかる。

堕天使たちは苦しんでいるのだ。
 
お酒は、それを紛らわすためなのか。

何だか見ているのが辛い。
 
この二人には、迎えに来てくれる、お相手の悪魔など、きっといないのだ。

「その、エレナさん、どこに連れて行かれたかわかる、かな」

 金髪はグラスを手に立ち上がってオレの傍まで来た。

酒に潤んだおおきな目でオレを覗き込む。

オレはそんな場合じゃないのに、ドキドキしてしまう。


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