キラめく堕天使

そうかもしれない。

でも、もう、どうでもいい。

天井が限りなく淡い青になった。
 
もう少し、かな。
 
思っていると、天井が低くなり始めた。

手を伸ばせば指先が届くほどになり、

やってみた。
 
第一関節より上が空気に触れた気がした。
 
もっと天井は低くなった。
 
思わず身をかがめて歩いていたけれど、ハッと思い直して、頭を上げてみた。
 
水の圧力が顔を撫でた。
 
その直後、水の下と同じくらい青白い世界に出た。

 夜、なのか。
 
それとも、魔界はずっとこんな感じなのか。
 
見上げると、月よりもはるかに近くクレーターのようなものが肉眼でもハッキリ見えるくらい傍に、

月に似た衛星が浮かんでいた。
 
それも、三つも。
 
いまにも重なり合いそうな位置に、浮かんでいる。
 
魔界の天空も胎動しているのだろうか。
 
そうだとしたら、重なり合うこともあるのかもしれない。
 
そして、それが起こるとすればもうすぐなのか、起こった直後に違いない。
 
それくらい三つの衛星は近づいている。


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