キラめく堕天使
オレは薄い水の層から膝まで出て来ていた。
中に落ちたときもそうだったが、今度も水から抜け出したって言うのに、
一滴分も濡れてはいなかった。
浅くなっている、穏やかな水面から、さらさらの白い砂の上に移った。
ひんやりとした感触。
靴を履いていない足の裏で砂を踏みしめた。
振り返ると、水面はさざなみすら立てていなかった。
海、というよりは湖、だな。
静かだった。
湖面が広がっているのとは逆の方向に、深い、森が見えた。
そこまでの間を、白い砂が覆っている。
と、よく見ると、その砂の上には、
ゴミのようなものが散らばっていた。
布の塊のように見える。
好奇心から一つを拾い上げてみると、
それには首を通す穴と、袖があった。
服、だ。
そこいらじゅうに散らばっているのは、服なのだ。
何と、ここはまるでクローゼットの浜だ。
もしかすると湖面の下の監獄に入れられているモノ達の剥ぎ取られた衣装なのかもしれない。
オレは、自分の、シャツとジーンズ姿を見下ろした。
魔界に、コレか。