キラめく堕天使
逃げようと、背中を向けると、何者かに襟をむんずとつかまれて、吊り上げられた。

 くっ、苦しい。

 そのまま向きを変えられて、ドアの方へ向けられた。

 開いている。

 暗く口を開けている。

 もがいていると、ドアの中の暗闇に向かって運ばれた。

 オレを掴んでいる何者かは、ぴょんぴょんと跳ねているらしく、オレは首根っこを押さえられたまま、体を上下に乱暴に振られた。

 ドアをくぐると、ぽいっと放り出された。

 背後でドアが音を立てて閉まる。

 と、真っ暗だった空間が、赤っぽい照明に照らし出された。

 
< 68 / 212 >

この作品をシェア

pagetop