キラめく堕天使
ドアをくぐったというコトは、巨木の中に入ったというコトだ。

 なのに、そこは巨木などおよびもつかないほどに広かった。

 四方の壁のほとんどを本が天井まで詰まった本棚が埋めている。

 オレは床に放り出された姿勢のまま、周りを見回した。

 圧倒される本の数である。

 どれも分厚く、図書館なら、禁帯出マークがついていそうな本ばかりだ。
 
と、

「乱暴してごめんなさい。」

 真後ろで声フェチの人ならよだれを垂らせそうな、高い、おもちゃのような声がして、オレは振り返った。

 
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