キラめく堕天使
 物凄く不思議な気がした。

 オレが?

 けれど、今のオレはオレであってオレでないのだ。

 フィックスの綺麗な入れ物の中に寄生しているのだから。

「森であんな大声を出すと命取りよ。フィックスがここにいますって大声で知らせてるわけだから。超低級魔族が群がって来て、一瞬で食い尽くされちゃうわ」

 その可愛い声で言われると、ぞっとするのも倍増、だな。

 オレは引きつった。

「食い尽くされるって」

「フィックスは敵が多いのよ」

 知力も魔力も大してないくせに、人間の魂を取る術に長けているから。

そう聞いた。

だから、他の魔物に妬まれているんだって。

だからって、食い尽くさなくても...

「そのうえ人間の臭いがするんだから。あなたは。」

「えっ、そう?」

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