揺れる、山茶花
はなびら 壱







* * *





―――ただもう、何もかもが私を馬鹿にしているようで。





「七回…」


ボソリ。

余りのショックに、つい電車の中で声に出してそう呟いてしまった。

隣りに座る若者が変な顔をしたが、今はそれどころではない。

七回。

いちにいさんしいごおろくしちはちの七回。

なにを指す数字かって?

なにを、って。

なにを…って。



「また落ちたの?」

帰宅した私の顔を見て、母が肩を下ろして言う。相当酷い顔をしていたらしい。
まだ一言も喋ってないのに、ズバリ確信。



「……」

うんざり。

なんか、もう無理。

会話することも億劫で、私は家族から向けられる憐れみのような非難のような視線から逃げるように自室に向かった。


「世知辛い世の中だわねぇ」

去り際に耳に流れ込んできた呟きが目に滲みて、泣きたくなる。

涙を堪えるように握っていたショルダーバッグをベッドに投げつけて、ドアに凭れたままその場にうずくまった。






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