揺れる、山茶花








返却された履歴書がバッグから覗く。

そう、フリーターになってから七枚目の履歴書。

八つ当たりされたショルダーバッグの中身。


七回。

就職活動の失敗。

不採用を叩きつけられた数。

私の人生の、失敗の数だ。



「うー…」

考えれば考えるだけ目頭が熱くなって、泣けてきた。

この情けない行為は習慣化していて、熱い涙は躊躇いなくつらつらと頬を流れ落ちていく。


なんで、こんなに巧くいかないんだろう。

私のなにがいけないんだろう。

考えても仕方がない事。

私だって大人だ。

世の中、うまくいかない事の方が多いんだってことくらい、知ってる。




―――でも、考えずにはいられない。

現時点で貯金はゼロ。

やりたい事も欲しい物もあるのに、何も出来やしない。


(働いて稼いで、…お金がなきゃ、愛だって囁けない)


だからって経営難の自営業を営む親に頼れる筈もない。

高校卒業と同時にしがない株式会社に就職した私は、けれどそれなりに頑張っていた。


仕事は楽しくて、勉強になった。






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