揺れる、山茶花








つい昨日まで一緒に笑いあっていたみんなは、一度も私と目を合わせてくれなかった。

リストラしてしまったことからくる負い目なのか、それとも、ただそれだけの関係だったのか。



―――それが妙に私の胸に突き刺さって、一挙に私を押し潰したのだ。



(……あーあ)

そして何ヶ月かの自堕落な生活を経て、やる気も新たにいざ就職活動に出向いた私を待ち受けていたのは。


『七回』。


この世知辛い世の中でこんな一桁の数字、大した数字じゃないのは解っている。

解っているのに。



鬱だ。

うまくいかない。

なにもかも。

駄目だ。


何が駄目って、私、が。




(違う。仕方のないことだ)

こういうのって、良くある。

一生を過ごしていく上での、小さな通過点だ。

なにしたって巧くいかない事が、ある。

別に私が悪い訳でもない。

そういう時期なのだ。

下手に足掻かずに、少し時間を置けばいい。



でも、仕方ないことなのに。


責めずにはいられない。


大好きな仕事をさせてくれていた先輩達を。

私をリストラした会社を。

私を不採用にした各企業を。

―――私を。







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