揺れる、山茶花








(あの頃に戻りたい)


なぁんにも考えなくて良かったあの頃に。

思いつくまま言葉にしてそれが周りにどう思われるかなんて、つまらない心配をしなくてよかったあの頃に。


(無邪気に笑いたい)

痛みなんて知らない。

悲しみなんて知らない。



ただ世界がキラキラしていたあの頃に、戻りたい。

人間って、大人になればなるほど退化していっている気がする。


子供は人間じゃない。

生物学的上、確かに人間だけれど、生まれたばかりの赤ん坊を世間様は一個の人間とは認知しない。

だからこそ子供達は自由であり、うつくしくあり、無垢、なのだ。

大人になればその存在を人間として認められ、必然的に世の中のしがらみに捕らわれてしまう。




氷のような世界。



最近のテレビでは、テロとか他国への制裁とか、爆弾とか、戦争の恐怖とか、怖いことばかり言ってる。


国の、世界の、私の空気が澱んでいる。

浄化するには何が必要だろう。

愛だろうか痛みだろうか優しさだろうか悲しみだろうか。







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