甘食系男子
「…いや、さっきはオレも無神経でした……っていうか一旦離れましょうか。いや離して下さい。」
「許して下さるんですか!」
「近いです!近いですから顔が!」
それまで俯いていた顔をあげて、ズイっと詰め寄られると、ただでさえ至近距離だった顔が更に近付いてくる。
困った…埒があかない。
というか身の危険を感じる。
昼休みも限りがあるし、このまま昼飯を食い損ねたらここに来た意味が8割方なくなってしまう…。
「…あの、宮古塚さん。…食べませんか」
「…え?あ、私、を…ですか?………
…はい。佐藤くんになら…」
「弁当です。勘違いです。頬を赤らめないで下さい。
…宮古塚さんが作ってきてくれた弁当、持ってきたんで。」
傍らに置いてある風呂敷包みを右手で持って「ほら」と見せた。