甘食系男子
「佐藤くん…」
「ですから、まずこの腕を…」
ギュッ
「……っ///!」
「逆です逆!きつく抱きしめろなんて言ってません!」
…彼女を無理矢理に引き離して、そのまま教室に戻ることだって出来た。
お昼がないと言ったって、購買に行けばまだパンの1つや2つ残ってただろうし、
1人で戻って和紀やクラスの奴らに責められても無視すれば済む。
どう考えても、今こうして女子を相手に格闘しているより遥かに楽なその選択を、
自他共に認める面倒臭がりなオレが選ばなかったのには勿論、理由があって。
「大、好きです…」
「………」
…嘘泣きだと思っていた彼女の頬に、涙の跡を見付けてしまったから。
そして、何事もなかったかの様に振る舞うその声が、微妙に震えているのに気付いてしまったから。
…たまには菓子パンじゃない昼飯もいいか…。とか思ったりして。
「佐藤くんになら、私…//」
「いや結構です。まじでそれは。」
…菓子パンにはない苦労も付いてくるけど。
fin.
あとがき&おまけ
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