甘食系男子
来週は世間で言う“バレンタインデー”があるらしい。
お菓子業界の戦略だなんだと忌み嫌う人もいれば、抵抗なくそれに乗っかる人達もいる。
俺はというと、“バレンタインデー”そのものはどうでもいいとして、
この時期のチョコレート製品の豊富さに心が躍らない筈がない。
今日も「俺の朝ご飯は……?」と妹に文句を言いつつも、家中に広がるチョコレートの匂いに満更でもなかった。
「今年もちゃんとお兄ちゃんの分、あるからね♪」
「そらどーも。……お前、去年みたいのはやめろよ?」
妹は今高校1年生。
年齢が近いからなのか、妹が年頃になってきてからも会話がなくなるということもなく、まぁ仲は良いほうなんだろうか。
「今年は大丈夫だって!でもこれだけ甘い物が好で、あれがダメって…あ!焼けたっぽい!」
バタバタとキッチンに走って行った妹を横目に、去年のチョコレートを思い出して胸やけをおこした。
「バレンタインねぇ…」
なんと言われようと、アレは苦手だ…。