甘食系男子





「一!はーじめ!起きろって!」


貴重な俺の睡眠時間。
いわゆる休み時間に、バタバタと耳障りな音をたてて和紀が教室に入ってくる。


「んー…るせぇバ和紀…」

「バカゆーな!」


ぺしっと頭を叩かれて机に突っ伏せていた顔を嫌々あげた。



「…生クリームでも降ってきたんだろうな」



学校での安眠を妨害されて、イライラを隠すことなく答える。


和紀の用が、懸賞でケーキを当てただとか、生クリームが降ってきたぐらいのことじゃなければ納得できない。
いやそれでも納得できない。




「ふっふっふ…。生クリームじゃなくて、チョコレートならもうすぐ降ってくるぜ」




――――…は?



「…………バ和紀」

「バカゆーなよ!」


バカを必死に否定する和紀を前に、頭をボリボリかきながら短くため息をついた。


「…なにが降ってくるって?」

「だーかーらー!今日!バレンタインだろ!!」



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