甘食系男子





「姫、こんにちは!」

「ごきげんよう」

「雅さま、今日もお綺麗…」

「ありがとう」


校門をくぐるとかけられる生徒達からの挨拶に、ニッコリ微笑みながら返す。




佐藤くんのクラスに着くと、ドア陰からそっと教室を覗いてみた。

「いた…」



騒がしい教室の中で独り佇む姿…(和紀はアウトオブ眼中)


漆黒の髪に気品漂う眼鏡。
前髪が風でそよいでふわっと揺れている。
何があっても動じないあのポーカーフェイスも素敵。
そして何よりの極めつけは、この私になびかないところ。

そんな男子…
「初めて…」


思わず一を見つめる目もうっとりする。




「ふう…」

さあ、行くわよ雅!




胸を張り、顎を引いていざ戦いのフィールドに足を踏み入れた。




「佐藤くん」



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