甘食系男子
その場の空気が一瞬凍ったのは気のせいだろうか。
というより教室全体がなんというか…
「ばっ…
み、宮古塚さん!気にしないで下さい!こいつなりのジョークっすから!アハハハハ!!」
その空気を和紀の焦った声が破る。
え?オレ、なんか変なこと言った?
いやだって、飯があるのは本当だし。
そうだ。千紘に買ってきて貰った可愛い菓子パン達がオレの胃袋に入るのを待ち侘びている。
「ひ、姫!私、ぜひそのお弁当の中身を見てみたいんですけど!!」
「もう佐藤ったら最近ギャグ線高いぞっ」
「宮古塚さん今のはコイツの…っ」
「おいスイーツオタク!!」
「あんたなんか甘食系男子よ!」
「謝れ!!」
「その眼鏡どこの店だ!」
「姫!こんな奴より…」
クラス中の生徒が男女関係なく彼女の周りに集まって、慰めともオレへの罵声ともわからない言葉をかける。
彼女はそんな輪の中で視線を手元の風呂敷に落とし、ふるふる震えていた。
なにが悪いのか分からないけれど、オレの良心がチクリと痛んだ。