紅色の永遠
真珠のような肌と、銅色(あかがねいろ)の髪良く映える、紅色のリボンを愛している高貴な女性。
戦争が終わったら、婚約を宣誓しようと決めていた。
しかし、最早それは叶わない‥。
ならば、せめて‥。
そう願いを込めて、側にいた友人にそれを手渡して、青年は力尽きました。
そして娘は、彼の友人から手渡された、紅色が幾つも零れた布の切れ端をを見て、初めて愛する男の死を知りました。
娘は布の切れ端を握り締めて、涙を流しました。
その涙が布の切れ端に染み込み、男の流して紅色と混ざり、溶け合い‥やがて、美しい紅色に染め抜かれていました。
そう、娘が愛する紅色のリボンのように‥。
娘は、それを生涯手放しませんでした。
そして自らの死に際に、それを左手の薬指に巻いて、男の元へと旅立ったのですー