紅色の永遠
「‥遥、輝‥?」

震える声で紡がれたのは、彼女にとって、誰より愛しくて、誰より大切な存在。

甘美でいて、禁断の果実のごとき危険をはらんだ記憶の渦。

困ったような笑顔。

優しくてあったかい手。

細くて頼りなさげだったけど、本当は誰よりも強い心を持った貴方。

そんな記憶が渦を巻きながら彼女‥瀬遥は謎の老女に視線を投げる。

彼から彼女の事を聞いたような口振りからして、彼の‥遥輝の知人に違いなかった。

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