君のとなり




「悠輔が来てないかと思って。」



睨むように、はっきりとそう言われた。



「……来てないと思います…」


少し怖くて、声が小さくなる。



奈々さんはその言葉を信じていないようで、眉間にシワを寄せた。




「あ、…あがりますか?」



そう言うと表情をコロッと変えて、微笑みながらアタシの後ろを付いてきた。





リビングのソファーに腰かけた奈々さんの前に、そっとお茶を置いた。





「本当に来てないのね。」


奈々さんはどこか不満げに、でも安心したような顔をした。




< 89 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop