宿敵は隣人サマだっ!!

「………………」


「………………」



なっ…なんだろうこの沈黙…。



さっきから渉はあたしの髪を掴んだまま動かない。



「…あの…渉…？」


「…………………」



やっ…やっぱり突然すぎた!?!?


榊原君と一緒にいるのに、少しでも可愛く見られたいっていう願望が露骨に表れすぎたか!?!?



何も反応を返さない渉に少々焦るあたし。



いやにドキドキと鼓動が体全体で感じられて、思わず俯いた。




「わたっ…」


「…いーよ？」


「…っえ!?!?」



バッと勢いよく渉を見上げる。



何!?幻聴!?


今“いい”って言った!?


えっ!?あの渉が!?!?



軽くパニックに陥るあたしに、渉はキラッキラの笑顔を見せてくる。



「リボン、可愛いの選んでやる」


「……………っ!!!!」



あぁ今この瞬間、初めて渉が神様に見えた!!!



あたしは思わず立ち上がった。




「渉～ありが「たーだーし!!」



………………ん？



見ると、渉はまだあのキラッキラスマイルのままだ。



……え？
あの………



「わたっ…わ!!!!」


あたしの言葉より、渉があたしを自分の方に引き寄せる方が速かった。