宿敵は隣人サマだっ!!
まだまだ賑やかな廊下を渉と歩く。
「そういえば、これ」
「………え?」
渉から渡されたのは、あたしの制服のリボン。
「今日は紺と白とピンクのストライプなんだ」
ポツリと呟きながら、あたしは渡されたリボンを襟に通す。
「ん。少しでも知的に見えれば、便乗してお前の成績も上がるかなと思って」
「……………」
そんな流し目して微笑んだってあたしは騙されませんから!!!!
思い切り渉から目を反らしパチンとボタンを閉めて、あたしは胸元のリボンを眺める。
あたしの家には、制服のリボンがない。
それは、果てしないドS隣人、渉に没収されてしまったから。
「せいぜい俺が、若菜がまともに見えるように選んでやるから」
そう言って渉は毎朝あたしにリボンを手渡してきて、
だから、あたしのリボンの柄は渉の気分次第。
渉はけっこうセンスあるから、いつも制服に似合うリボンを選んでくれるんだけど…
「おっ、蒼井!!お前いい加減に学園指定のリボンしてこいよー」
「だって先生あたしのせいじゃないもんっ!!!」
指定リボンをしていないあたしは規則違反なわけで。
それもこれも全ては渉のせいなわけで。
あたしが怒られる筋合いはこれっぽっちもないのに。