*蒼空色Diary*
「ユアン!!由里亜も…」
「杏樹怪我は…?」
「あたしは大丈夫だけど…」
そう言ってから、騒ぎになっている喧嘩を見つめる。
けっこう派手になってて、2人とも顔に痣ができているにもかかわらず、その手が止まることはない。
周りにいるギャラリーもどうしたらいいのか分からないといった様子で、オロオロとしている。
「杏樹と由里亜さんはひとまずここから離れて」
事情を把握したらしいユアンがそう言うと、由里亜は頷いてあたしの腕を引く。
「ほらっ杏樹!!!!」
「え?あっちょ…」
由里亜にグイグイ引っ張られるあたしだが、中々足が動かない。
「……………あ」
そこで、あたしは気付いてしまった…。
とても悲しい事実に。
「杏樹!!!はやく行け!!」
ユアンの声が聞こえたような気がしたけど
そんなこと、今となってはどうでもよかった。
「杏樹!?!?」
由里亜の腕をゆっくりとほどくと、あたしはユラユラと喧嘩をしている2人に近づいた。
「ハアハア…あ?」
殴りあいをしていた男子Aが、近付いてくるあたしに気付いたらしい。
そのせいで腕が止まった男子Aを不審に思った男子Bも、あたしに視線を移す。