*蒼空色Diary*


――――――――――――――――


「うえーん…うぅ…」


「杏樹泣かないで~」



食堂での騒動のあと、とりあえずあたし達はあたしの部屋へと来た。



「ひっく…」


「杏樹諦めろ。ケーキはもう片付けられてる」



ユアンがタシタシとあたしの肩を叩いてくる。



……………はぁ



それを聞いてどん底まで落ちたあたしのテンション。


ベッドに頭をもたれ掛けながら悲しみにくれる。




「……………」


ユアンは呆れたようにあたしを一瞥すると、由里亜に向き直った。




「由里亜さん」


「ああ、そうだね。
杏樹も聞いてね」


「りょーかぃ…」



あたしが力無く手を挙げると、由里亜は持っていたポッキーをいったんテーブルに置いた。



「皇学園て、けっこう学費も高いし勉強も難しいし世間的にも有名だから入ってくる生徒って有名な企業の子息とか令嬢ばっかなんだよね」



「でもそのワリにはさっきみたいな喧嘩あるんですね」



ユアンが言う。


確かに、ある程度の教養があったらあんな所で喧嘩なんてしないよね…。



「ここって小中高までは全寮制なんだけどね。
無断で家には帰れないんだ。申請が必要だし、帰省期間も厳しいし。
もちろん街に出るのも禁止でさ。

だから、初等部からいる子なんてほとんど親に会えないし、
手紙でやり取りできるんだけど、中には頻繁に子供に手紙を出すのを嫌がる親もいるらしくって。体裁気にして。

それで、どうしてもストレスが溜まるんだよね。外では発散できないし、物を壊したりしたら親に請求いくし。

だから、喧嘩をするみたい。
喧嘩でストレス発散するみたい」



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