*蒼空色Diary*
「ふんふんふん~焼きそばサンド~♪」
ご機嫌なあたしは足取り軽い。
ふふふ…トイレに行くなんて嘘だもんねーっ
焼きそばサンドがあたしを待っているのさ!!!!
「焼きそばサンド~♪」
…焼きそばサンドとは
購買に売っているパンの中であたしの1番のお気に入りで
1週間に1日だけ、しかも10個しか販売されないという
超、幻のパンなのだ。
その幻さゆえに競争率は激しく
普通に買いに行っても買えないのが現実。
だから、あたしは考えた。
どうしたら焼きそばサンドを手に入れられるのか
答えは簡単。販売時間の前からスタンバイしておけばいいのだ。
そのために入荷販売時間は既に調査済み。
あたしは計画通り、その時間を見計らって購買に行くことにしたのです。
「今日は絶対買うもんねーっ!!!」
拳を振り回しながら最後の10mは猛ダッシュ。
購買に走り込んで、パンコーナーに目を走らせれば
「…………っ!!!!」
たった1つ
たった1つだけ残されている
一際輝く焼きそばサンド。
あたしのために残された、焼きそばサンド。
「……はぁ…は…」
荒い息遣いをしながらもヨロヨロとサンドに近づいて、
ゆっくりと手を伸ばす。
あたしの…
あたしの…
「焼きそばっ…《ヒョイ》
「あー翡翠よかったネ。最後の1個じゃん」
「あぁ………あ?」
「あ!!!杏樹ちゃんじゃーン!!!!久しぶりーっ
何で固まってんノー」
「…ほっとけ凪。行くぞ」
スタスタスタ…
の…………………
NOーーーっ!!!!!!