*蒼空色Diary*
そんなことをしているうちに、いつの間にかあたしの涙は止まっていた。
「あーよかった!!杏樹ちゃん泣き止んでくれたねー俺ちょっと焦ってたんだよネー。よかったねー翡翠っ!!!」
ヘラッと表情を崩す御堂凪は冬矢翡翠に笑いかけている。
それを見た冬矢翡翠はフンッと目線を反らすと、あたしにゆっくりと手を伸ばした。
「別に、もう怒ってねぇから…」
「…………んっ」
その手があたしの頭に触れたとき、なんとなく
ほんとになんとなくだけど…
「あ…」
「…………は?」
「あったかい…」
この人の、不器用な温かさを感じたんだ。
「エー翡翠って、末梢四肢の温度高いのー?」
「知るかよ」
「俺にも触らせてヨー」
「来んな変態。で、お前はさっさと正体吐けよ」
冬矢翡翠はそう言いながらも、その温かい手であたしの頭を何度も撫でてくれる。