月の衣

夜に咲く花


夜がきて、追われるままに
朝がくる
それまでの間に

疲れ果てた肢体をなげだし
薄暗がりの中にまどろむ
白い足首は微動だにせず
やがて白き燃える手が
感触もなく、静かに這い上がる

なまあたたかい時
残暑の残り香が窓から流れ込む

やがて野に花が咲く
誰も知らぬ間に
夜が朝を迎える、その前に
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