月の衣

波と川

晴天の昼間ともなれば
誰彼となく心はずみ
時の過ぎ行くままに
ゆらゆらと、ゆらゆらと舟をこぐ

空高き雲流れるまま
風ふくまま心誘われ
見知らぬ場所もいとたやすく
ゆるゆると、ゆるゆると足を軽くする

時がたち夕暮れせまる
空の端にくれない染まる
その刹那のまたたきに手をかざす
するすると、するすると全てが満ちる

満ちていま
闇に向かいて
ただ一人、舟を漕ぐ
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