to dreamer


呆然とその後ろ姿を見送る形になった俺は、なんだか居心地が悪かった。



「あ。」



突然間抜けな声を上げ、そんな俺の方に向き直ると、少し笑って、カザマは言う。



「名乗ってなかったけど、あたし風間千空(チアキ)。よろしく。」



そう言って用具室の扉を開けて、千空は、出ていった。


薄暗い用具室に光が差し込んで、千空の顔は、よく見えなかった。


何もかも、将棋に例えるなら先手を打たれた気分だった。


悔しいのか、よく分からないけどすべて、先を越されていた。



「わっけ分かんね……。」



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