to dreamer
それはない。
絶対に、ない。
ないハズなんだけど……
そのときだった。
普段人の出入りが少ないハズの、屋上の鉄製の扉を蹴り開けるような乱暴な音と共に耳に入ったセリフ。
「おい………お前たちか?」
女独特の高い声、夏風に揺らぐ、長い黒髪を一つに結い、見間違いなく《風紀》の文字が入った腕章を身につけている。
夏の日差しを背に、偉そうに立ち塞がったのは、ある意味で、俺の『求める刺激』を持った人、だった。
「こんなところになんのよーう?風紀のカ、ザ、マ、さん?」
鞘の冷ややかな質問に『カザマ』と呼ばれた女は、不適に笑った。