都の春
私は歩いて兄上のもとに向かいました。
カラカラ…
戸を開けました。
「兄上!!」
『中宮様。
寝たままにて失礼します…』
「いいえ…
人払いを願います。
近くに行っても宜しいですか?」
私は少納言に人払いを命じて、兄上のお側に寄りました。
『中宮様、お話がございます…』
「兄上。
二人きりなんですから、中宮様と呼ばないで下さい。
私も、この一時は、ただの春香です」
『春香、話がある』
「何ございますか?」
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