都の春
『『ドン!!』』
大きな音と共に、俺の目の前には、体の大きな二人の男が立っていた。
俺は枕元に置いていた短剣を抜いた。
『姫君は何処だ?』
俺に刀を突きつけて聞いた。
「お前らに教えるぐらいなら、俺が身代わりになる!」
俺がそう言ったら、賊は頬を斬りつけてきた。
俺は流れる血に見向きもせずに、短剣で賊とやり合った。
しかし…
所詮は13歳の力。
最期の手段に俺は出た。
「養父上!!!
助けて下さい!」
そう大声で叫んだ。
すると…
ドドド...という音と共に、警備の兵が来た。
賊どもは、養父が事情を聞くために連れて行った。
俺は、頬に一生消えないであろう傷を負った。
『若君様…
申し訳ございませんでした。
我らが気づかなかったばかりに…
お方様はお許し下さらないでしょう。
若君様の大事なお顔に、お傷が、』
警備のものや、養父上は俺の頬の傷に騒いでいたが…
俺は別の事で頭が一杯だった。
もし…
これが、春香だったら。
春香の代わりになれて良かった。
そんな事ばかり頭を巡った。
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