都の春




『『ドン!!』』






大きな音と共に、俺の目の前には、体の大きな二人の男が立っていた。



俺は枕元に置いていた短剣を抜いた。









『姫君は何処だ?』


俺に刀を突きつけて聞いた。







「お前らに教えるぐらいなら、俺が身代わりになる!」











俺がそう言ったら、賊は頬を斬りつけてきた。









俺は流れる血に見向きもせずに、短剣で賊とやり合った。





しかし…



所詮は13歳の力。











最期の手段に俺は出た。







「養父上!!!



助けて下さい!」







そう大声で叫んだ。








すると…






ドドド...という音と共に、警備の兵が来た。





賊どもは、養父が事情を聞くために連れて行った。




俺は、頬に一生消えないであろう傷を負った。






『若君様…

申し訳ございませんでした。


我らが気づかなかったばかりに…


お方様はお許し下さらないでしょう。

若君様の大事なお顔に、お傷が、』






警備のものや、養父上は俺の頬の傷に騒いでいたが…




俺は別の事で頭が一杯だった。













もし…



これが、春香だったら。







春香の代わりになれて良かった。






そんな事ばかり頭を巡った。








.
< 19 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop